2011年08月11日

夏休み日記_2日目


エイヴリー・ギルバート著『匂いの人類学』鼻は知っている

 第2章 匂い分子が支配する世界 匂いの科学分析
この章は、揮発性物質の検出と知覚との不思議な関係

 第2章は、このような書き出しから始まる。

 厳密に言えば、頭のなかにしか存在しない。分子は空気中に
 存在する。だが、私たちにできるのは、その一部を“匂い”
 として頭に刻み込むことだけだ。匂いは知覚であって、
 ものではない。

 1950年代半ばにガスクロマトグラフィー(GC)が発明された。この装置で匂いの混合物をすばやく分析できるようになり、それぞれの匂いに質量分析計(MS)という別の計測装置をかけると、はっきり成分が特定できるようになった。また、コーネル大学の化学者であるテリー・アクリーは、複雑な匂いサンプルに含まれるそれぞれの化学物質について、相対的な匂いの強さを数値的に表す方法(GC-O)を考案した。

 1970年代にGC-Oの研究が始まり、1974年までには、食品に含まれる2600種類の揮発性物質が確認された。最終的には1万に達すると考えられていた。

 ここで、匂いと知覚の不思議な関係を知ることになる。

 たとえば、トマトはトマトの匂いがある。何の不思議もない。ところが、GC/MSにかけるとトマトは400種類以上の匂いを知覚するための揮発性物質が検出された。不思議なことに人間の嗅覚閾値に達するのはそのうちの16種類だけであることが分かった。ある専門家の推測によれば、食品に含まれる揮発性物質のうち実際に匂いに寄与するのは5%足らずらしい。

 つまり、ある食品の匂いは最小限の揮発性物質で機能する。最も驚いたことは、トマトという匂いは揮発性物質の組み合わせであったこと。その匂いに寄与する最小限の揮発性物質をアロマモデルという。

 アロマモデルも初めて知り驚いた。このモデルは、匂いの世界で欠かせない存在で活用されているだろうと思った。

 匂いのミニマリズム的ダミーであるアロマモデルがもたらした成果は、実物そっくりな匂いをわずかな揮発性物質で再現できるようになったこと。また、匂いについての問題を効率的に対処できる。たとえば、豚小屋で手のつけようがなかった強烈な悪臭問題があった。豚小屋には、300種類以上の揮発性物質がこもっている。ところが最近の研究によれば、豚の匂いの85%は四つの分子が原因で発生しているらしい。だとすれば、匂いを特徴づける、ひと握りの分子を押さえ込めばいいことになる。

 また同時にこんな疑問も浮かんでくる。それは、人に知覚されない多くの揮発性物質は何をしているのだろう。

 テリー・アクリーの推測では、こうした揮発性物質の多くが、人間以外の鼻に向けられたものだという。自然界の匂いとは、概して動物と植物とが交わす化学的な会話であり、人間はそれを立ち聞きしているにすぎないという。哺乳類の鼻では受信できない香りのチャンネルがあるらしい。

 そんなことは書いていないがたとえ話しをすると、夜空に光り輝く星座を思い浮かべると分かりやすい。オリオン座は7つの星で構成されているとする。天体望遠鏡で覗いた画像を見ると、肉眼では見えない無数の星の存在を知ることになる。匂いにも共通の世界観がある。

 第2章をまとめると、

 匂いの知覚は頭のなかの出来事で、
 人の場合、匂いに寄与する揮発性物質は最小限で機能する。


posted by トモ兄 at 11:17| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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