2008年04月03日

■未知化すること

原研哉著『デザインのデザイン』は、
銀座松屋のデザインショップを散歩していたときに発見しました。
表紙は光沢のある白、タイトルデザインはシンプルそのもの。帯には、デザインをわかりたい人たちへ。幾つのもの発見がある一冊。だそうです。
それはそれとして、次第に表紙が魅力的に思えてきて、何度か目でとうとう購入してしまった。

読んでみると、とてもよかったです。
きっと、ブーメランのようなハッピーリターンがあるかも?

僕にとって、面白い内容・発見が盛り沢山でした。その中の一つを自分なりに紹介してみたいと思います。

◎未知化することについて

デザインに興味あるひとたちには、良書であると思います。


未知化という概念は、まず大前提があります。

それは、人が備えている感覚で、人はきわめてセンシュアスな受容器の束であると同時に、敏感な記憶の再生装置を備えているイメージ再生の生成器官である。

受け手は、刺激に対して、無意識に反応しているように思えるが、自分自身の記憶と照らし合わせ想像し、
送り手は、受け手の想像プロセスに深く関与する。
送り手の視点でみると、送り手がある方向性をもった刺激を構築し、目的に相応したイメージを受け手に連想させることによって、創造行為は完成する。
受け手の視点では、何も起こらなければ、何の意味もない。

だから、創造活動は一方通行でなく、送り手と受け手の協同作業であることが必要です。


◎未知化とは(長くなりますが、引用します)

 新奇なものをつくり出すだけが創造性ではない。見慣れたも
 のを未知なるものとして再発見できる感性も同じく創造性で
 ある。既に手にしていながらその価値に気づかないでいる膨
 大な文化の蓄積とともに僕らは生きている。それらを未使用
 の資源として活用できる能力は、無から有を生み出すのと同
 様に創造的である。僕らの足下には巨大な鉱脈が手つかずの
 まま埋もれている。整数に対する少数のように、ものの見方
 は無限にあり、そのほとんどはまだ発見されていない。それ
 らを目覚めさせ活性させることが「認識を肥やす」ことであ
 り、ものと人間の関係を豊にすることに繋がる。形や素材の
 斬新さで驚かせるのではなく、平凡に見える生活の隙間から
 しなやかで驚くべき発想を次々に取り出す独創性こそデザイ
 ンである。

この考え方は、誰れもが何となく感じていて、もやもやしてたことを、明確にまとめて、未知化という概念(コンセプトワーク)につくりあげたのだと思います。素晴らしいです。そして、この概念はこれからも、多様化し発展すると思います。

「混沌、七竅に死す」に関連づけて考えると、
原研哉さんは、「渾沌殺し」の確信犯なのです。

このことは、人のもてる世界観の地平線に向かって挑戦することを意味します。そこに立つとその前方にはまた水平線が現れます。つまり、継承・発展の余地があることになります。

自分で書きながら、渾沌としてきてどんなふうにまとめようかと思案しています。「渾沌」は難解ですが、挑戦しているのが、デザイン業界のリーダー的存在である原研哉さんだと思います。「渾沌殺し」の手口を知ることは、とても面白いです。

『デザインのデザイン』は、原研哉さんのコンセプトワークブック。制作物は、気づかなかった新しさの中に、どこか懐かしさも感じたりします。
デザインに興味あるひとたちへ。お薦めです。面白いです。


原研哉さんの制作物は、原デザイン研究所で見れます。


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posted by トモ兄 at 12:16| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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